投球フォームにおける「トップ」

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トップとは何か

投球動作の中で言う「トップ」とは、前足が着地した直後、投球腕が最大外旋に向かう位置にある瞬間のポジション

腕や肩の形・位置が安定し、ここから加速に入っていく「切り替え点」として重要。

よく言われる「ボールが耳の後ろにある」「肘が肩より高い」などのフォーム的な目安はあるが、それ自体が目的ではない。

トップの意味合いと位置づけ

トップは、意識的な準備動作の終わりであり、無意識・反射的な加速のスタート

ここがうまく整っていれば、その後の動きは比較的スムーズに流れていく。

逆に、ここでズレや乱れがあると、後半のフォームを途中で修正できない(=負担や怪我につながる)。

トップはスイッチポイント

投球は大きく以下の2つのフェーズに分けられます。

  • トップまでの動作(意識的にコントロール可能なフェーズ)
  • トップ以降の動作(無意識・反射的に加速するフェーズ)

トップはこの2つのフェーズをつなぐスイッチポイントにあたります。

トップが適切に決まっていると、その後の加速やリリースの動きは自然かつ効率的に行われます。
一方で、トップが不安定な場合、加速期以降の動作を途中で修正することは難しく、肩や肘に急激なストレスがかかりやすくなります。

よくある誤解:「トップを作る」ことが目的化してしまう

選手が「トップの形を作ろうとする」こと自体は悪くないが、フォームの一場面だけを練習することに偏ると本質からズレる

トップは、あくまでそれまでの動き(ステップ・捻転・腕のタイミングなど)の結果として現れるべきもの。

つまり、「作りにいく」のではなく、「流れの中で自然にそうなる」ことが理想。

これらを実現させるために、でんでん太鼓の動きやロープやインディアン・クラブを動きを学習するためのツールとして利用します。

選手への対応メモ

  • 高校生投手から「トップって大事ですよね?」と聞かれた。
  • 実際にトップの形を示してくれたが、見た目の形は良い。
  • ただ、その形を“作りにいっている”印象が強かったので、 「トップは形じゃなくて流れで“結果的に”そうなるのが理想」と伝えた。

→ その後、動作全体とのつながりの大切さを話した。
 この意識の違いがパフォーマンスにも、怪我のリスクにも関わってくる。

私のスタンス

「型にはめる」ではなく、「動きの中で自然と収まる形」を選手自身が見つけられるようにサポートする。

そのためには:

  • 動きの原理やつながりを言語化する
  • 映像や感覚フィードバックを使って“気づかせる”
  • 一時的にフォームを整えるためのドリルは使うとしても、「そこに至る流れ」を崩さないことが前提

まとめ

トップは“結果として現れる現象”であって、“狙って作るポーズ”ではない。

正しい動作連鎖があれば、トップは自然に定まる。

指導やトレーニングでは、**「その位置になるような全体の動き」**をどうサポートするかがポイント。

自分自身も、「この動きは選手にとって最適解か?」という視点を持ち続けること。

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