肩が痛いです」そう言った高校球児の体を見たとき、
肩ではなく腰の緊張が真っ先に目に飛び込んできた。
目次
始まりは「肩の痛み」だった
ある日、指導している高校野球部の選手が、
「最近肩が重くて、投げるとき少し痛い」と相談にきました。
肩まわりの筋肉や可動域をチェックしていると、
私の目に止まったのは――**「腰部の異常な緊張」**でした。
「これはもしかして…」と感じ、仰向けでレッグレイズ(足上げ)をしてもらうことに。
見えてきた“がんばりすぎる腰”
その選手は、足を上げた瞬間から腰が床から浮き、反り上がる状態に。
いわゆる「反り腰」で、腰椎を反らせながら無理に持ち上げるフォームでした。
腹筋でコントロールするというよりも、
股関節屈筋と腰の筋肉で“頑張って”持ち上げている感じ。
これが、肩や背中の負担につながっていたのではないか?
そんな仮説が頭に浮かびました。
同じレッグレイズでも「どう動くか」で体の使い方は全然違う
レッグレイズ」といえば、ただ足を上げて下ろす動き。
でもその“中身”は、制約や意識の違いでまったく別物になります。
私はここで、3つの方法を整理してみました。
- 腰が反るのは気にせず、足を90度まで上げる
- 股関節の筋肉(腸腰筋など)主導
- フォームは崩れやすいが、可動域と出力は得やすい
- 多くの人が「このやり方」で無意識に行っている
🟠 → 腰を痛めやすく、長期的にはリスクに
- 腰を浮かせずに行う(ニュートラル or 少し後傾)
- 腹横筋や腹直筋でコアを安定させながら動作
- 呼吸と連動させつつ、フォームの正確さと安全性を重視
🔵 → 「正しく動ける身体」をつくるための方法
リハビリや体幹トレーニングでよく用いられる
- 腰を浮かさず、腹筋を力ませず、呼吸を止めない
- 小さな動き、あるいは動かずに観察するだけでもOK
- 「動きそのものよりも、自分の内側がどう変化しているか」に気づくことが目的
→ 「どう動くかではなく、“動こうとする自分”を感じることが大事」という視点
緊張から自由になり、動きに“選択肢”を与える身体を育てる
まとめ
同じ動きでも、
- 腰を気にせず動くのか
- 固定して正しく動くのか
- 緊張を抜いて感じながら動くのか
それによって、使っている筋肉も、神経も、身体の在り方も変わります。
「力を入れること」よりも、「感じること」が動きの質を変える。
レッグレイズは、それを教えてくれる小さな入口になった経験でした
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