視覚は“見る”だけじゃない──パフォーマンスを支える4つの視覚系統と神経の役割

きっかけ:視力は良いのに、動作がズレる?

選手の中には「視力は問題ないのに、なんだかボールが見えていないような動き」をする人がいる。

  • 捕球でグラブの中に当たらない
  • スイングのタイミングが妙に遅れる
  • パスの受け取りで動き出しがズレる

こうした違和感の背景にあるのが、「視覚機能=“見る”ための神経制御」が4つの系統に分かれていて、それぞれが役割を持っているということ。

目次

視覚を支える4つの神経系統とは?

機能名内容神経系主な働き
サッケード(Saccade)目標への素早いジャンプ移動前頭眼野 → 脳幹 → 動眼神経など目線を一瞬で次のターゲットへ移す
パースイート(追視)ゆっくり動くものを滑らかに追う視覚野 → 小脳 → 動眼系ボールや相手の動きを滑らかに追う
VOR(前庭動眼反射)頭を動かしても目線を固定前庭器 → 前庭神経核 → 脳幹・動眼系ラン中やターン中に視線を安定させる
輻輳・開散(Vergence)距離に応じて両眼の角度を調整中脳輻輳中枢+皮質ボールの距離・深さを判断し続ける

動作とどうつながるか?

動作場面使われる視覚系もし機能不全なら…
捕球時の落下点把握輻輳+追視+VORタイミングミス/届かない/よける動作
打撃・スイングサッケード→追視→輻輳打点のズレ/詰まる/見逃し増える
守備時の打球追従追視+VORボールが急に速く見える/反応遅れる
パス受け/走りながらキャッチサッケード+VOR相手を目で追えない/空振り/目線が浮く

神経的視点で分類すると

分類視覚機能関与神経系意識性
錐体路系(随意)サッケード・追視視覚野〜前頭眼野 → 脳幹意識して動かせる
錐体外路系(不随意)VOR・視運動性反射視蓋・前庭核・網様体など反射・無意識
混合系(中間)輻輳・開散中脳+皮質制御半随意的:意識と反射の中間

まとめ:視覚を分けて考えると、動きの原因が見えてくる

視覚は「見る力」ではなく、「動作に影響する入力と出力の中継装置」。 それぞれの視覚機能がどこでズレているのかを見立てられるようになると、 「フォームの違和感」や「タイミングの狂い」が神経的に読み解けるようになるかもしれない。

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