目次
はじめに:目を鍛えるとは、体の動きごと整えること
視覚トレーニングというと「目の運動」「眼球筋トレーニング」という印象がありますが、 実際には、目は頭・体幹・空間感覚と常に連動して動くセンサーです。
そこで今回は、フェルデンクライスメソッドをベースとした 「目・頭・体幹の動きを一度バラして、再統合する」トレーニングを紹介します。
これは、神経系の“協調と柔軟性”を取り戻す視覚-動作統合トレーニングであり、 シンプルながらも視線のスムーズさ・動作の自由度に大きな影響を与えます。
トレーニングの基本ステップ
ステップ | 動作 | 神経的狙い |
---|---|---|
① 目だけを左右に動かす | 頭を固定して、眼球だけをスムーズに動かす | 追視・錐体路系の強化 |
② 目と頭を同じ方向に動かす | 首を柔らかくしながら、視線と一緒に回旋 | 視覚-前庭-小脳の協調反応 |
③ 目・頭・体幹を同じ方向へねじる | 座位や立位で全身を使ってねじる | 姿勢制御と眼球運動の連動 |
④ 目と頭を逆方向に動かす | 頭は右、目は左を見るなど | VOR(前庭動眼反射)の強化・分離力の向上 |
⑤ 目と体幹は同方向、頭だけ逆へ | より複雑な運動統合 | 空間定位と視覚の高次再統合 |
このトレーニングの神経的意味
- 視覚と運動の**“協調-分離-再統合”**を通じて、
- 小脳、前庭系、錐体外路、網様体といった「無意識の運動制御系」が活性化
- フォームが硬い/詰まる/タイミングがずれる人ほど、劇的な変化を感じやすい
活用場面と応用法
- ✅ 投球前のプレ動作(フォームの再調整)
- ✅ 打撃前の軸の感覚リセット
- ✅ 守備での視線と身体の反応の一体化
応用としては、
- トレーニング中にブロックストリングスやVOR課題を組み込む
- 音やリズムと組み合わせてリズム制御を加える
- 動的姿勢課題(片脚立ちや歩行中)と統合する
まとめ
このトレーニングは、視覚だけを鍛えるのではなく、 “視覚と動作を神経的に再接続する”ためのアプローチです。
特に目と頭が「同じに動く」「逆に動く」「体と分けて動く」などの能力は、 スポーツパフォーマンスだけでなく、動作の自由さや柔軟性のベースを支える基盤でもあります。
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