目次
はじめに
最近の現場や対話の中で、「レジリエンス(回復力)」という言葉と、自分が大事にしている「適応的最適解」という概念がどう違うのかをあらためて整理したいと思った。
どちらも「変化にどう対応するか」という点では共通しているが、対象や方向性が異なる。
以下、自分なりの理解と現場での捉え方。
適応的最適解:その場で最も合う動きを出す力
- 動きやフォームを固定化しない
- 状況・環境・相手・自分の状態に合わせて、毎回最もふさわしい“自分の動き”を選ぶ
- プレーパフォーマンスに直結
野球的な例
- 足元が滑る → ステップを調整する
- 球のキレがない → 配球でカバーする
- 球場の風が強い → 打球方向を考える
=体や感覚が「今この場面に最適な動き」を自動で引き出せる状態って感じかな?
レジリエンス:心の折れにくさ、立ち直る力
- ミス、怪我、スランプ、挫折などからの立ち直り
- 感情や思考の柔軟性・切り替え力
- メンタルや行動の持久力・回復力という側面が強い
野球的な例
- 三振後すぐ守備に集中できる
- 連続失策しても表情を崩さずプレーを継続できる
- 長いスランプでも腐らず取り組み続けられる
比較してみると
概念 | 対象 | 機能 | キーワード |
---|---|---|---|
適応的最適解 | 体・動き | 状況への即時対応 | 柔軟性・選択肢・感覚連動 |
レジリエンス | 心・思考・行動 | 逆境からの回復 | 回復力・立ち直り・折れない |
共通するのは「変化に対応する力」
違いは、「何にどう対応するか」
違いを整理
- 適応的最適解は「今、何をどう動くか?」
→ 技術と感覚の接点にある力 - レジリエンスは「過去・困難をどう処理するか?」
→ 内面の持続力と再起力
選手を見ていても、動きは適応できても心が折れる選手、心は強くても動きが硬い選手は少なくない。
理想は、両方を高める指導アプローチ
最後に
- パフォーマンスの質(動き)=適応的最適解
- パフォーマンスの安定(心)=レジリエンス
- どちらが欠けても、試合では結果がついてこない
選手の動きと心を、別々に見るのではなく、つながったものとして観察・指導していく視点が必要。
今後もこの2つの概念を意識しながら、選手が「動きの自由さと、心の強さ」の両方を持てるように関わりたいと思おう
参考図書:レジリエンスを育む、K.L.ケイン
レジリエンスの心理学、小塩真司 編著
現場で活用できる スポーツ心理学、松山 博明 著
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