はじめに
ピッチングにおける「抜重」は、下半身や骨盤だけでなく、上半身・特に肩や腕の動きにも深く関係しています。
最近、私自身が実践・指導の中で非常に効果を感じているのが、
「インディアンクラブ(Indian Club)」を使った上肢の抜重トレーニングです。
クラブの動きは、“流れに乗る”“無理に止めない”“重力を活かす”といった、抜重に必要な感覚を自然に身につけさせてくれます。
なぜインディアンクラブが抜重にいいのか?
1. 遠心力を“受ける”感覚が得られる
クラブを振ると、重さが外に引っ張られます。
この遠心力を「制御」するのではなく「受ける」ことで、力を抜く技術が自然に育ちます。
これはまさに、ピッチングにおける
「押す」「力で上げる」ではなく、
「流れに乗って腕が上がる」感覚そのものです。
2. 重力ゼロの瞬間を体感できる
クラブが最も高く上がった瞬間、ほんの一瞬だけ“ふっ”と力が抜けたような感覚があります。
これは重力が最小になる「ゼロG」のような瞬間です。
このタイミングで内旋・外旋など動作の切り替えを行うことで、
ピッチングにおける**「トップから最大外旋への切り替え」**を無理なく体で覚えることができます。
3. 脱力と切り返しの“間”を学べる
クラブを無理に止めようとすると動きが詰まってしまいます。
逆に、動きの“流れ”を活かしてタイミングで方向を変えることで、最小限の力で最大限の反動が得られます。
これはピッチングの「リリース直前の切り返し」と非常に似ています。
4. 肩・肘への負担が少なく連動性を高められる
クラブを振る動きでは、肩甲骨・肩関節・肘・手首が自然に連動します。
力任せに振ることができないため、滑らかなモーションの中で“抜き”と“流れ”を学ぶのに最適です。

実践ドリル例:ゼロGスイッチ
🔹目的:
クラブの上昇〜頂点〜切り返しの中で、無重力感→方向転換→流れの継続を体感する。
🔹やり方:
- 両手または片手でインディアンクラブをゆっくり振り上げる
- 最も高い位置(クラブが一瞬止まるように見える位置)で、内旋→外旋方向へ切り返す
- そのまま自然に下ろす → 再び反対へ
🔹ポイント:
- トップで止めない/力を入れない
- 勝手に切り返す“間”を感じる
- ゆっくり始めて、慣れたらリズムを加える
🔹応用:
- ピッチング動作のトップ〜最大外旋の流れにリンクさせる
- クラブの動きと肩・肘の可動域の関係を意識
まとめ
インディアンクラブは単なるトレーニング道具ではなく、
「力を抜きながらエネルギーを扱う」感覚を磨く最高のツールだと感じています。
特にピッチング動作の中で、トップやリリース時の「抜きと切り返し」を安全に反復練習できるのは大きな魅力です。
今後も、抜重の感覚を深めるための補助ツールやドリルについてご紹介していきます。
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