“感覚を起こしてから動く”──神経を整える再学習型ウォームアップのすすめ

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はじめに:温めるだけでは足りない

一般的なウォームアップは「体温を上げる」「筋肉を動かす」ことを目的としていますが、 神経の再学習や誤差修正が必要な状態では、それだけでは不十分です。

特に、

  • 小脳機能の誤差学習が弱っている
  • 視覚や前庭との統合が乱れている
  • 過緊張やオーバーコントロールが起きている

このような状態では、まず“感覚と神経のスイッチ”を入れてから動き出す必要があります。

神経を整えるウォームアップの3原則

原則内容狙い
① 感覚入力から始める視覚・前庭・固有感覚など“入力”を刺激する神経系の準備と自動化促進
② 動作を分離・再統合する頭・目・体幹などの“協調と切り離し”小脳・中脳・姿勢制御系の再調整
③ リズムとタイミングを使う音・呼吸・視覚ターゲットなどで“出力の滑らかさ”を誘導誤差修正・自律神経調整

実践例:再学習型ウォームアップ構成(約10〜12分)

✅ フェーズ1:入力の活性化(約3分)

  • サッケード or パースイート(目を動かす)
  • 固視ターゲット+ヘッドターン(VOR活性)
  • ブロックストリングスで距離感覚を刺激

✅ フェーズ2:分離→再統合(約4分)

  • 目だけ→目+頭→目+頭+体幹→目と頭逆方向(フェルデンクライス応用)
  • 片脚立ちで頭・目を動かしながらバランス保持
  • 呼吸を入れながら視線+身体を連動(視線と体幹の再接続)

✅ フェーズ3:出力の滑らかさ誘導(約3〜5分)

  • メトロノームや音に合わせて視覚的リズム運動(例:ターゲットに合わせて手足を動かす)
  • スキップ・シャッフルなどの軽動作を視線と連動させて実施
  • 最後に「見て・感じて・動く」を一体化させる小サーキット

こんな選手に特に効果的

  • フォームが詰まる・硬い・リズムが悪い選手
  • 試合になると動きが鈍くなる・タイミングが合わない選手
  • ケガ明け・慢性痛明けで再構築中の選手

まとめ:動きを変えたいなら、まず“感覚”を目覚めさせる

パフォーマンスを上げるとは、「筋肉を大きくする」こと以上に、 “動きの出力をコントロールする神経系を目覚めさせる”こと。

この再学習型ウォームアップは、

  • 小脳や中脳の再調整
  • 神経の過緊張からの解放
  • 視覚−前庭−体幹の再統合

といった神経的な再構築を行う準備時間になります。

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