—— 意識的にコントロールできる“最後の時間”としての意味
はじめに
最近、軸足でのローディング(片足支持)とトップ形成の関係を考える中で、
改めて**「トップは作るものではなく、結果として自然に現れるもの」**という理解が自分の中で深まった。
そのための土台が「ローディング期」であり、
ここが選手にとって**“唯一、意識的にコントロールできる時間帯”**であるという視点が非常に重要だと感じている。
ローディング期は「動きの選択」ができる時間
投球動作は大きく2つに分けられる:
- 意識的に調整・選択ができる時間(ローディングまで)
- 一度始まれば反射的に進行する時間(トップ以降~リリース)
この前者、つまりローディング期こそが、選手が身体の使い方を選べる最後のフェーズ。
フォームの軸を整えたり、骨盤・体幹の使い方を調整したりできるのは、実質ここしかない。
外側支持を土台にしたローディングの価値
足部の構造を踏まえると:
- 内側アーチ(第1〜2列)は可動性・吸収性に優れ、筋反応が早い
- 外側アーチ(第3〜5列)は安定性が高く、軸を支える構造
このため、ローディング中は外側(特に踵〜小趾球)で荷重を支える方が、下肢のアライメントが安定しやすい。
結果として:
- 脛骨が垂直を保ち
- 膝が内側に倒れず
- 左股関節(右投げ時)を軸に、骨盤の高速回旋が可能になる
このような安定と軸回旋の準備が、トップ形成の“機会”を作る。
トップは「導かれるもの」
選手が“トップの形”を意識して作ろうとする場面は多いが、
本来トップは、ローディングの質とタイミングによって自然と形成されるものである。
つまり:
トップは「作る」のではなく、「身体がそこに導かれる条件を整える」ことが大切。
そのために最も重要なのが、まさにローディング期である。
選手にとっての“最適解”を引き出す
選手の身体感覚はそれぞれ異なる。
だからこそ、フォームの「正解」を押し付けるのではなく、
- 「ローディングが整えば、トップも自然と安定する」という考え方を伝える
- 外側荷重や骨盤軸を感じさせるような練習環境を用意する
- 選手が「これが自分にとって投げやすい」と感じられる機会を与える
ことが、その選手にとっての“最適解”を引き出すことにつながる。
おわりに
トップの形成に悩む選手は多いが、
その多くは「上半身の形」だけに意識が向いているように感じる。
実際には、ローディング期の過ごし方こそが、その選手の投球動作を決定づけている。
ここをどう作るか、どう導くか。
選手が自分の体と向き合い、最適な動きを「自分で選べる」ようになること。
それが、選手と関わる上での最も本質的なサポートだと今、強く感じている。
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