〜ただの腕立て伏せではない、“プレーにつながる”身体づくり〜
今回は、日々のトレーニングの中でも特に「意味がある」と私が考えている“拳立てプッシュアップ”について、なぜやっているのか・どこに意識を置くべきかを書きます。
このプッシュアップは「腕のトレーニング」ではない
多くの人が「腕立て伏せ=腕を鍛える種目」と考えがちですが、私たちが取り組んでいる拳立てプッシュアップは、主に“体幹を安定させる”ためのトレーニングです。
投球やバッティング、守備の送球においても、「力を出す」には、まず身体の軸が安定していなければなりません。
拳立てプッシュアップは、その“安定した軸”を体で感じながら作り上げていく種目です。
拳で行う理由と“軽く握る”制約の意味
なぜ拳なのか?
- 手首に負担をかけずに、体の軸をまっすぐに保ちやすくなるため
- 握ることで前腕・肘・肩の連動性が自然に高まりやすいため
なぜ“軽く”握るのか?
- 強く握りしめると、腕・肩・体幹に無駄な力みが生まれ、動きが硬くなります
- 軽く握ることで、必要な筋肉だけを使って、脱力と安定のバランスを体で感じられる
👉 つまり、「握る力を自分でコントロールする」こと自体がトレーニングです。
呼吸は止めない――動きの質を高める基本
プッシュアップの動作中、呼吸を止めないことも大切にしています。
なぜなら、呼吸が止まると体が固まりやすくなり、肘や肩に必要以上の負担がかかるからです。
呼吸を続けながら動くことで、
- 体幹の深部筋(腹横筋や骨盤底筋)が働き
- “身体の中心”から力を生み出す感覚がつかめるようになります
応用編:肩甲骨を「車輪のように回す」動き
ある程度フォームが安定してきた選手には、肩甲骨を意識的に動かす応用動作も指導しています。
これは、ただ動かすだけではありません。
体幹を安定させたまま、肩甲骨だけをコントロールして動かすことで、
投球やスローイングに必要な「可動する安定性(動きながらも安定している状態)」を養います。
この動きによって、次のような感覚をつかめるようになります:
- 背中が滑らかに動く感じ
- 力が腕に“流れていく”ような感覚
- 肩まわりが軽く、コントロールしやすくなる
プッシュアップ中に意識してほしいこと
チェック項目 | 内容 |
---|---|
肩・肘・手首の位置 | 横から見て一直線になっているか?(肘が外に割れていないか) |
拳の握り | つぶれない卵を握るように、力みすぎない |
呼吸 | 動作中も止めず、吐くタイミングで力を出す |
肩甲骨 | 固めず、浮かしすぎず、背中で「動きを感じる」 |
体幹の安定 | 腰が落ちたり反ったりせず、“板”のように保つ |
まとめ
この拳立てプッシュアップは、ただ筋肉を鍛えるためのトレーニングではありません。
自分の身体をどうコントロールするか、
力をどう抜き、どこに通すか、
それを身につける「技術練習」でもあります。
日々の練習や試合で、“なんとなくやっている動き”を
“意味のある動き”に変えるための土台作り――
それがこのトレーニングの目的です。
ぜひ、普段の練習の合間にも「拳の握り方」「呼吸の仕方」「背中の動き」などを思い出して、自分の感覚を磨いていってください。
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