慢性痛は“神経の迷子”かも!

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はじめに:原因の見えない“痛み”の正体

筋肉をほぐしても、関節を調整しても、なぜかぶり返す痛み。 「慢性痛」の多くは、筋や骨だけでなく、神経系の“過緊張ループ”によって引き起こされている可能性があります。

そのループの出発点として近年注目されているのが、 **「小脳の機能エラー」→「中脳〜脳幹系のオーバーファイアリング」→「筋緊張・痛覚過敏」**という神経の過活動連鎖です。

小脳発の“痛みのループ”とは?

フェーズ内容影響
① 小脳の誤差学習がうまくいかない姿勢・視線・動作の調整が微妙にズレる身体の「不安定感」/運動のぎこちなさ
② 中脳や網様体が代償的に働く姿勢反射系・防御反応が過活動に無意識の筋緊張・目・顎・頸の固さ
③ 交感神経が過剰に優位になる痛覚閾値が下がる・呼吸が浅くなる肩・背中・腰などの“ぶり返す痛み”
④ 小脳への入力がさらに減る動作の自由度が落ち、緊張が慢性化ループが固定化し、慢性痛へ

兆候として見られること

  • 慢性肩こり・腰痛がストレッチや施術でも“すぐ戻る”
  • 呼吸が浅く、目や頸部の緊張が強い(防御反射)
  • 緊張型頭痛・顎関節痛など「末端の防御反応」が出ている
  • 動作が“慎重”か“過剰にコントロールされている”印象がある

解決のカギ:ループを“両側から断つ”

アプローチ内容狙い
小脳機能の再活性視覚+バランス+誤差学習の刺激誤差修正能力の回復と自動化促進
脳幹(中脳・網様体)緊張の解除フェルデンクライス・呼吸ワーク防御反応の抑制と姿勢反射のリセット
視覚−前庭−体幹の再統合頭部と視線の分離/協調トレ眼・姿勢・動作の神経再リンク

結論:「痛み」=“構造”のせいだけではない

慢性痛は「筋が悪い」「歪んでいる」といった構造視点だけで見ると、 神経系がつくり出している**“動けない”の記憶と緊張のループ**を見落としてしまいます。

✅ 小脳が使われなくなっている ✅ 脳幹が代わりに緊張で守ろうとする ✅ そのせいでますます小脳が働けない

このループを神経からほどいていくことで、 “自然に痛みがなくなる”という回復プロセスが生まれると考えています。

関連研究・参考文献

  1. Re-examining the Mysterious Role of the Cerebellum in Pain
    小脳が急性および慢性の痛みにどのように関与しているかを探る。
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11044115/
  2. The Cerebellum and Pain: Passive Integrator or Active Participator?
    小脳が痛みの処理における能動的役割を担う可能性を指摘。
    https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2943015/
  3. Resting-State Functional Connectivity of the Cerebellum in Patients with Chronic Low Back Pain
    慢性腰痛患者における小脳の機能的接続性と痛み感覚の関連。
    https://journals.lww.com/ajpmr/fulltext/2025/03000/resting_state_functional_connectivity_of_the.9.aspx
  4. Chronic Pain and Comorbid Emotional Disorders: Neural Circuitry and Neuroimmunity Pathways
    慢性痛と感情障害の神経回路と免疫経路、小脳の関与。
    https://www.mdpi.com/1422-0067/26/2/436
  5. Neural Plasticity in the Brain during Neuropathic Pain
    小脳を含む脳領域における構造的・機能的変化についてのレビュー。
    https://www.mdpi.com/2227-9059/9/6/624
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