目次
はじめに
日々、選手との関わりや学びの中で、「視覚」と「VOR(前庭動眼反射)」の重要性を改めて感じることが多くなってきた。
特に野球動作(投球)においては、トップ以前と以後で明らかに神経制御の質が変わる印象がある。 そこで今回、自分の頭の中を整理する目的で、「視覚系」「VOR系」「投球動作のフェーズ」と「神経系」の関係を言語化し整理してみた。
視覚とVORの違い
評価対象 | ビジョン(意識的) | VOR(反射的) |
---|---|---|
主な機能 | 固視・サッケード・追視・視覚注意 | 頭が動いても目線がブレない安定反射 |
制御系 | 視覚野→前頭眼野→運動前野(錐体路) | 内耳→前庭神経核→脳幹(錐体外路) |
特徴 | “目を使う”操作 | “頭と連携する”反射 |
問題の出方 | 見逃す・集中できない | 視線が泳ぐ・ブレて気持ち悪い |
→ ごちゃ混ぜにせず、明確に評価&トレーニング分けるのが鍵!
投球動作フェーズとの対応
- トップまで:意識的な制御フェーズ → ビジョン系の評価・介入が有効
- トップ以降:自動制御フェーズ → VOR系の評価・トレーニングが重要
→「トップ前=見る」「トップ後=ブレない」の整理が腑に落ちる。
簡単チェックリスト
【視覚系チェック】
- □ 目標を10秒間しっかり見続けられる(固視)
- □ 紙の左右にあるマークを素早く目だけで交互に見れる(サッケード)
- □ 指で動かしたペンをスムーズに目で追える(追視)
【VOR系チェック】
- □ 頭を左右に小刻みに振りながら、顔の前の文字を読み続けられる(VOR固視)
- □ 頭を動かしても、顔の前に出した指がブレて見えない(視線安定)
→ 1つでも「難しい」「視線がズレる」「集中できない」があれば、改善の余地アリかも!
評価の指標(段階的に分けている)
【固視(Fixation)】
- ★正常:30秒維持、視線安定
- ▲やや不安定:10〜30秒程度、時々ズレ
- ❌異常:10秒未満、集中保てない
【サッケード】
- ★正常:10秒間で15往復以上、正確
- ▲境界:10〜14往復、ミスや頭の動き
- ❌異常:9回以下、視線ズレまくる
【VOR固視】
- ★正常:15秒ブレずに維持できる
- ▲ズレが一瞬だけ、少し見づらい
- ❌明らかにブレ、視線保てない、気持ち悪さ
→ 3段階の基準はないので、便宜上段階をつけてみています。
最後に
イップスやフォーム不良の背景には視覚-VOR-小脳連携の破綻が潜んでる気がするので、また整理できればなあと思う。
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